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今7月、東京圏が初めての転出超過

今7月、東京圏が初めての転出超過

2020/9/16日経新聞一面に『働き手、地方めざす~テレワーク定着、東京圏が転出超』が報道されている。

『新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにしたテレワークの定着が、都市から地方への人材供給を後押ししている。東京から北海道などへの移住が増えている。また都市に住みながら地方の企業で仕事をする「オンライン就業」も広がってきた。世界的にみても人材の偏在が顕著な日本で、首都圏への一極集中が緩和する可能性がある。

総務省の人口移動報告で7月、2013年に統計が現在の調査方法になってから初めての現象が起きた。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)からの転出者が転入を上回り、1459人の転出超過になった。東京圏は長年、他の地域から人材を吸収してきた。通年では1996年から一貫して転入超過を記録し、2014年以降は景気拡大を受けて年間10万人を超えて推移した。だがコロナ禍で状況は一変。緊急事態宣言が発令された4月からは転入が細った。

一部の地域では東京圏からの移住が急増している。4~7月は北海道や沖縄県、長野県など5道県で東京圏から移り住んだ人が、東京圏への転出者を上回った。住環境に定評があり物価も安い地域が多い。愛知県や大阪府など東京圏への転出超過が上位の府県でも、超過の幅は縮小した。新型コロナの影響で転勤や進学に伴う人の動きが低調だった。

東京都からの転出の6割を占めるのが20~30歳代だ。テレワークの広がりもあって、「生活の質(クオリティー・オブ・ライフ、QOL)」を高めたいという若年層にとって地方移住のハードルは下がっている。ビジネスSNS(交流サイト)運営のウォンテッドリーでは地方企業(東京圏以外)からの副業関連の求人が3月以降、コロナ前の3~4倍に急増した。テレワークの定着で、フルタイム雇用以外の多様な働き方が可能になったことも地方企業の追い風になる。

全人口に占める東京圏の人口の割合は29%(15年国連推計)。ニューヨーク(6%)やロンドン(13%)、上海(2%)など各国主要都市圏と比べても突出して高い。東京への人材の偏在と固定化は地方が衰退する要因だった。コロナを契機とした働く場所の多様化が、拡大の一途だった都市と地方の経済格差を緩和する一助になる可能性もある。』

今7月の東京圏からの転出超過が本格的な流れと考えるのは早計だろう。「新型コロナの影響で転勤や進学に伴う人の動きが低調」だったからである。過去、年間ベースの3大都市圏の転出超過の動きをみると、11~12年転入超過拡大期が続いた後、7~8年の転入超過衰退期を繰り返していたが、07年以降、転入超過衰退期に入っていたにもかかわらず、「アベノミクス」によって不自然な再拡大となっていた。この人口移動のサイクルからみても「アベノミクス」は強引に景気拡大を押し進めて転入超過拡大期を形成したことが分かるだろう。近い将来、その強引な経済政策の反動が大きく表れる可能性が高いのではないだろうか。

また、この3大都市圏、特に、東京一極集中を考える上で重要なことは、3大都市圏の人口比率とサラリーマン比率が連動している点である。高度成長期に地方からの労働力を吸収するかたちでサラリーマン比率が上昇、それが3大都市圏、特に東京一極集中をもたらした。

拙書『サラリーマンは3割減る』の第2章に、『では、東京一極集中にはどんな問題があるがろうか?東京一極集中は経済活動の効率を上げるには最適のかたちである。そのため、サラリーマン比率と3大都市圏の人口比率連動するかのように上昇してきた。

だが、あまりにも集中しすぎた都市化は、逆に、非効率になっているのが現状だろう。都市部では通勤時間に1時間以上かかるのは普通のことである。また、少子化にもかかわらず、保育所入所待機児童数は増加している。その結果、年収の上がらないサラリーマンが増加する一方、生活コストが上昇し、ストレスばかりが都市に蔓延している。』と指摘している。今回の新型コロナの感染拡大も行き過ぎた都市化、東京一極集中化がもたらしたものである。そして、その新型コロナ感染拡大をきっかけにした大リストラ時代が今後到来し、サラリーマン比率が低下する近未来が待っている。そして、結果的に東京一極集中の是正が進むのは皮肉と言えるだろう。「テレワークの定着で都市か地方のどちらかではなく、両立が可能になった」現在、大リストラ時代到来の前に自ら「脱・東京」の行動をする方が正しい選択のような気がするのだが。

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