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米国長期金利が7%台に上昇すると「潮が引くと誰が裸で泳いでいるかわかる」


米国長期金利が7%台に上昇すると「潮が引くと誰が裸で泳いでいるかわかる」

2023年9月29日日経夕刊に『金利一段高に備える投資家』が掲載されている。

『米長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時4.69%近くまで上昇(価格は下落)し、約16年振りの高水準を連日で更新した。その後は低下に転じて4.58%程度で終えた。最近の金利上昇は急ピッチだっただけに、米国債には押し目買いも入った。(途中略)

「多くの投資家が30年物国債の何が面白いのかを再考している」。同じイベントに登壇した著名投資家のビル・アックマン氏も長期や超長期の金利が一段と上昇して国債価格は下がる可能性があるとの認識を示した。30年債利回りは現在4.7%台で、利回りがリスクに見合わないとみる。同氏は今夏「30年債をショート(売り持ち)している」と公言して話題を集めたが、金利上昇に備える姿勢は変わっていないようだ。』

アックマン氏は8月上旬にソーシャルメディアプラットフォームX(旧ツイッター)への投稿で初めて自社の立場を公の場で言及して以来、夏場の株安が加速する中、金利が急上昇している。9月28日、CNBCのデリバリング・アルファカンファレンスに出演し、

「米国政府と30年契約を結ぶのに十分な報酬が支払われていないというのがわれわれの見解だ」

「構造的にインフレが上昇し、米国政府が財政赤字を維持するためにさらに国債を発行する必要があると予想している」

「今後数週間で10年米国債利回りが5%水準を超える可能性がある 」と語った。

また、米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、米連邦準備理事会(FRB)が想定する「最悪のシナリオ」に備えるべきだとメディアで警告。

「私はビジネス界の人々に『7%のような事態に備える準備はできているか』と尋ねている。最悪のケースは、7%のスタグフレーションだ。」

「エコノミストらはすでに米国が来年景気後退に陥る確率を55%としているが、7%の銀行金利を前に経済の「軟着陸」への期待は消え去るだろう。」

「ウォーレン・バフェット氏は、潮が引くと誰が裸で泳いでいるかわかると言っている」と語った。「われわれは以前にもインフレや財政赤字、不況に対処したことがあるが、このような事態は第二次世界大戦以来ほとんど見たことがない」と付け加えた。

先週、2023/09/25『米長期金利が一時4.37%と16年ぶり高水準』のT-Modelコラムにおいて、

『先週、米長期金利は9月22日高値4.508%まで上昇し、昨年10月高値4.338%を突破して、冒頭の記事にあるように2007年11月以来15年10カ月ぶりの高水準を記録した。2007年11月はリーマンショック直前の時期だが、次の節目は06年6月高値5.14%となる。

米長期金利が上昇している要因について、同コラムでは需給がその要因であると指摘しているが、これはT-Modelと同じ考え方で今回、ご紹介した。さらに、T-Modelでは足元のWTI原油価格が6月末時点70ドル前後から一時、93ドル台後半と約3割上昇、22年11月以来の高値を付けたことが大きいと考えている。WTI原油価格はリーマンショック直前に08年6月145ドルのピークまで上昇しており、更なる上昇で米長期金利を押し上げることになる。

米長期金利が約16年振りの水準まで上昇したが、一足先にその水準に達していたのが政策金利に左右される2年債利回り。ようやく先行していた2年債利回りに長期金利が追いつき始め、07年や19年のようなかたちに近づいたわけだが、これまでと大きく異なるのは米長期金利が1980年~2020年までの40年間の長期下落局面サイクルを終えて、2021年以降の長期上昇局面サイクルに入っていることである。つまり、2年債利回りと10年債利回りの関係は、1970年代のインフレ期のように政策金利を下げる前に長期金利が大きく上昇するかたちで10年債利回り-2年債利回りの「逆イールド」が解消するかたちも想定する必要があるかもしれない。

米国の長期金利が約16年振りの高水準に上昇したことで注意すべきもう一つのポイントは、日本の長期金利が米国の長期金利との連動性が強まっていることである。2002年以降、米長期金利から3%P引いた水準は日本の長期金利を下回って推移していたが、22年以降、それを上回り始めているためだろう。日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化したことで日本の長期金利は先週、一時、0.725%と9年8か月ぶりの水準まで上昇したと考える向きもあるが、米金利が上昇する過程で日銀の政策修正をせざるを得なかったと考えるべきではないだろうか。仮に、米長期金利が次の節目である06年6月の5%台に乗せると、当時の日本の長期金利は2%弱に達しているが、そこまで現在の日本は長期金利の上昇を許容でききるのだろうか。日銀の政策修正を気にする前に、米国の長期金利の上昇に市場参加者は注意を払う時間帯に入っているということである。 』と指摘した。

前述のビル・アックマン氏は近い将来、長期金利が5%台に上昇し、ジェイミー・ダイモン氏はいつかは明言していないが、7%台まで上昇する可能性を指摘している。2021年以降の米国長期金利の前年比はそれ以前の振幅の2倍以上となっており、明らかに40年の金利低下局面とは異なる。インフレ局面の「10年債利回り-2年債利回り」の「逆イールド」解消の可能性を指摘したT-Model理論が現実化し始め、実際、「10年債利回り-2年債利回り」は9月25日週-0.47%までマイナス幅が縮小してきている。8月リアルセミナーで指摘したT-Model分析のポイントに迫りつつあり、それが現在のマーケットの動揺の一つの原因となりつつあるのである。

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