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1月景気ウォッチャー調査 物価高騰から大幅悪化

1月景気ウォッチャー調査 物価高騰から大幅悪化

物価高騰から大幅悪化した「2025年1月景気ウオッチャー調査」

内閣府は25年2月10日、「2025年1月景気ウオッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2025年1月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比-3.5%Pの45.5%(原数値)と3か月振りに悪化連続。実態を示す前年比ベースは-1.9%と12ヵ月連続でマイナス圏に陥り、水準も景気の別れ目となる50%を9か月連続で割り込んだままである。物価上昇により節約志向が広まり、「インバウンド売上が好調を持続している。海外のブランド品や高級腕時計、化粧品がよく売れており、春節が近いことで、特に中国からの旅行者が増えている(百貨店)」の一方、「野菜や卵などが高くなったという声が多い。98円均一セールなどの商品に魅力がなくなっていることから、客の買物かごの中身が減ってきている(スーパー)」「インフルエンザで来店を控えていたという話を聞くほか、物価高で外出しづらくなっている様子もうかがえる」(北陸のスナック)といった声がみられる。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比-0.4%Pの48.6%と3か月振りに悪化、景気の別れ目となる50%を11か月連続で下回り、原数値とほぼ同様で違和感はないが、原数値との水準が多少乖離している。2024年2月に「驚いたのは、24年1月分から現状判断DIを23年9月49.9→50.7、10月49.5→50.7、11月49.5→50.8と突然50以上に上方修正していたこと。50以下では不都合があったのだろうが、これは改ざんに近く、色々な統計でこのようなことが行われている可能性には注意が必要だろう。」と指摘したが、今回も24年12月「景気ウォッチャー調査」では、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」では、8月48.9→9月48.0→10月47.0 →11月48.6 →12月49.0 に全て変更されており、統計の信頼性は失われている。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、24年1月-2.8%→2月+0.5%→3月+2.3%→4月+0.0%→5月-2.9%→6月-1.8%→7月-0.9%→8月-0.6%→9月-0.5%→10月-0.9%→11月+0.5%→12月+1.0%→25年1月-2.0%と推移。3か月振りにマイナス圏、かつ24年5月以来の-2%台で景気回復は急速に悪化している。尚、内閣府は25年1月の基調判断は「景気は、緩やかな回復基調が続いている」と、2023年5月以来の上方修正である24年8月の基調判断を5ヵ月連続で維持している。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+1.0%Pの47.9%と前の月と異なり改善。実態を示す前年比ベースは-4.0%Pと、11ヵ月連続でマイナス圏に陥っている。また、景気の別れ目の50%も10ヵ月連続で割り込んでいる。食料品を中心とした物価高騰への懸念や米国の新大統領就任に伴う政策や関税見直しへの影響を不安視する声がある。「大阪・関西万博も開幕し、国内外から多数の客を迎える状況となるため、宿泊部門は今以上の売上が見込まれ、宿泊客によるレストランの利用も期待できる(都市型ホテル)。」「今年は、食料品、燃料費などの多くが値上げするとの予想が消費者に浸透しているため、財布のひもは固くなる一方である(衣料品専門店)」。尚、「季節調整値」は前月比-1.4%Pの48.8%と前の月と異なり悪化。景気の別れ目となる50%を24年8月に5か月振りに上回ったが、上回ったのは1か月だけで再び5ヵ月連続で50%割れと、原数値とほぼ同様で違和感はない。ただ、「現状判断」と同様、24年12月「景気ウォッチャー調査」では、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」では、8月50.2→9月49.5→10月48.7→11月49.8→12月49.4と全て変更されており、統計の信頼性は失われている。

また、「先行き判断DI」-「現状判断DI」が、24年1月+4.5%P→2月+3.2%P→3月-0.5%P→4月-0.9%P→5月+0.9%P→6月+1.9%P→7月+0.3%P→8月+0.9%P→9月+1.6%P→10月+1.4%P→11月+0.2%P→12月-2.1%P→25年1月+2.4%Pと、前の月と異なり、改善した。24年はプラス圏の月が増えて、正常化が進展してきていたが、「先行き判断DI」・「現状判断DI」の「逆転現象」は「先行き」に期待が持てない状態がまた訪れたことを示す。24年3月~4月まで「2ヵ月連続」マイナス圏、23年が23年7月~12月まで「6か月連続」マイナス圏、22年が22年3月~7月の「5か月連続」マイナス圏、22年9月~12月の「4か月連続」マイナス圏と、コロナ以降、同指標の連続マイナス圏の時期が増えていた。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+0.6%P の47.7%と前の月と異なり、回復したが、実態を示す前年比ベースでは-2.9%Pと4ヵ月連続で悪化。景気の別れ目の50%を24年9月以降、5か月連続で50%割れとなっている。また、全国先行きDI(家計関連)47.9%であることから、7ヵ月振りに関東地区が全国を下回り、その結果、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、24年1月-0.2%→2月-0.2%→3月-0.2%→4月-0.1%→5月+0.1%→6月-0.1%→7月+0.2%→8月+0.3%→9月+0.6%→10月+0.6%→11月+0.5%→12月+0.7%→25年1月+0.6%と推移し、「リーマンショック」直前の06年5月+0.6%を上回り、「コロナショック」直前の2020年1月+0.7や2度の「世界同時株安」が起きた2018年1月+1.0%、9月+1.2%の過去最高水準に回復している。同指標は関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっていることを利用して発見したT-Modelオリジナル理論。過去、07年の「サブ・プライムローン問題」、08年の「リーマン・ショック」、11年「欧州債務危機」、15~16年の「チャイナ・ショック」、2020年「コロナショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化していたが、逆に、現在は「○○ショック」直前の楽観的状態と言えるだろう。これまで同指標は世界的な金融危機が水面下で起き続けていることを示唆してきたが、過去最長の連続「逆イールド」や「円キャリートレード」を膨らますことで「人工的円安」を作り、日米の株価を上昇させることで、逆に、金融危機など起こらないような楽観的状況を作り出してきた。実は、過去、「円キャリートレード」が膨らんだ98年に「LTCM危機」「ロシア危機」が起こり、07年は「パリバショック」が起こり、08年「リーマンショック」に繋がった。そして、24年7月から始まった「円キャリートレード」は「令和のブラックマンデー」を起こしたが、これは一過性の混乱ではなく、今後、何度も起こる可能性のある「混乱」の始まりに過ぎず、今後、世界の金融市場に内在する深刻な構造的問題を浮き彫りにすることだろう。本日25年1月20日のトランプ大統領就任はその始まりでもある。

また、T-Model理論の同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は22年11月を戻りのピークに、23年4月-1.9%と、過去最悪だった12年12月-2.1%に迫る水準まで急落。19年7月ピーク+1.2%→20年4月ボトム-1.6%、20年11月ピーク+0.7%→21年6月ボトム-1.6%と同様に、コロナショック以降、3度目の「危険な時間帯」が続いていたが、前述の通り、「円キャリートレード」による「人工的円安」と「逆イ―ルド」による金融緩和策で日米の株価を吊り上げる不自然な「株価操縦」によって危機を覆い隠してきた。だが、24年7月に起きた「円キャリートレード」の巻き戻しによる円高進行に加え、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が週足ベースでは22年7月1日以来、114週(約2年2ヵ月)振りに途切れたこと、さらに最後までしつこく利用してきた『10年-3か月』の「逆イールド」が24年12月13日遂に解消、不自然な「株価操縦」も最終段階に入った可能性が高い。特に、『10年-3か月』の「逆イールド」は22年10月26日から始まって「連続767日」と、「1930年大恐慌」前夜に記録したこれまでの過去最長記録「連続700日」を大きく上回って終了したことで「1930年大恐慌」の時期を超える大きな「歪」が金融市場に溜まっていることを意味することから、『令和の「大恐慌」』というかたちで払わさられる近未来が我々に待ち受けている。そして、その混乱は2030年頃まで続くことになるが、我々にその「覚悟」が出来ているだろうか。

2025年2月10日ロイターは『1月全国企業倒産19.8%増、11年ぶり800件超=東京商工リサーチ』で、

『東京商工リサーチは10日、1月の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)が前年比19.8%増の840件になったと発表した。1月の800件超は11年ぶり。負債総額は同53.4%増の1214億4900万円。東京商工リサーチによると2024年は求人難や従業員退職などの「人手不足」関連倒産が前年比81.7%増の283件と13年以降で最多となったが、1月も3.1倍になったという。帝国データバンクの調査によると1月の企業倒産は前年比18.6%増の830件。倒産件数が前年同月を上回るのは33カ月連続で戦後最長となっている。人手不足倒産は39件で、単月の件数としては過去最多となった24年3月に次ぐ2番目だった。』を報じている。

この記事と関連しているのが2025年2月17日日経新聞『長期金利1.375%に上昇 15年ぶり高水準、日銀利上げ意識』の記事で、

『17日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時前週末比0.025%高い1.375%と2010年4月以来、約15年ぶりの高水準をつけた。24年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値が市場予想を上回ったことで日銀の追加利上げ観測が広がり、債券が売られた。』と報じている。

実は、2024年5月22日NHKは『22日の債券市場では、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りが1%まで上昇しました。長期金利が1%台をつけるのは、およそ11年ぶりです。』と現在の倒産件数と同じ11年振りの水準まで長期金利が上昇したのは約8か月前。つまり、長期金利が倒産件数の先行指標とも考えることができ、25年末頃までには倒産件数も「15年振りの水準」まで増えることを示唆しているが、いかがだろうか。因みに、「15年前」の10年の倒産件数は13321件で、月平均1110件と現在の水準から約3割増加することが懸念される。

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