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仮想通貨は典型的なバブル崩壊の様相


仮想通貨は典型的なバブル崩壊の様相

2022年6月18日日経新聞に『仮想通貨、底値見えず~業界2位が取り付け騒ぎ』が報道されている。

『16日、仮想通貨運用大手のシンガポールのヘッジファンド、スリーアローズキャピタルが相場の急落で融資元への追加担保が出せず、取引の一部が清算されたと伝わった。スリーアローズは様々な仮想通貨関連の会社やプロジェクトに資金を出している。法定通貨と価値が連動するよう設計されたが、価格が急落して問題になっているステーブルコイン「テラUSD(現テラクラシックUSD)」の運営会社にも投資したようだ。英フィナンシャル・タイムズによると運用資金は一時100億ドル(約1兆3000億円)だったが、最近では40億ドルに減ったという。ホームページ上に投資先として掲載している仮想通貨の多くは2021年のピーク時から8割以上価格が下落している。

レバレッジを効かせた運用も裏目に出た。1900社程度とされる仮想通貨のヘッジファンドの多くはレバレッジ運用をしているようだ。少ない自己資金を担保に仮想通貨を借り、この仮想通貨を担保にさらに仮想通貨を調達する。わずかな自己資金でも多額の取引ができるが、損失が発生した場合、その規模も大きくなる。国際決済銀行(BIS)は21年12月に「(一部のヘッジファンドなどは)規制されていない融資サービスを使って高いレバレッジをかけている。価格下落の際に資産売却の必要が出て、下落幅を増幅させる」と警告していた。

多額の損失を抱えれば資産売却は避けられない。ソフトウエア開発の米マイクロストラテジーは大量のビットコインを保有している。現在の価格で単純計算すれば含み損はいまや10億ドルを超える。3月時点の自己資本は約9億ドルにとどまる。マイケル・セイラー最高経営責任者(CEO)は保有を続けるとするが、ビットコインを担保にした借り入れなどもあり「必要にかられてビットコインを売る可能性が市場でかなり意識されている」と国内交換業大手のビットフライヤー(東京・港)の金光碧マーケットアナリストは話す。

仮想通貨を担保にヘッジファンドなどに融資する企業に対しても警戒が広がる。スリーアローズの取引を一部清算した1社とされる米ブロックファイは17日「追い証が払えなくなった大口顧客の資産を完全に清算もしくはヘッジした」と説明した。ただ、同社は14日に2割の人員削減を発表している。スリーアローズに仮想通貨の運用を委託している中堅融資のフィンブロックスは16日に利払いの停止と出金制限を発表している。これらの融資事業者は最大年利20%程度の高金利で個人投資家などから仮想通貨を集め、ヘッジファンドや企業に貸し付けたり、自ら運用したりしている。大手3社で600万人超から約340億ドル(4.59兆円)もの資金を集めている。一見銀行と業務内容は同じだが、自己資本規制など法的なルールはない。

既に業界2位の米セルシウスは13日に「利払いを優先させる」として出金を停止し取り付け騒ぎを起こした。破綻の可能性も取り沙汰される。「高利回りの原資が本当に融資や運用だったのか。新規加入者の資金を回す自転車操業だったのではないか」(マネックス証券の大槻奈那氏)など、こうした業者の融資サービスへの疑念は高まっている。足元のビットコイン価格は約2万ドルと21年11月のピークの3分の1に落ち込む。ステーブルコインの価格急落騒動で仮想通貨の安全性に疑義が生じている中、これらの事業者の信用失墜や資産売却などが重なればさらなる価格下落は避けられない。』

6月12日に出金停止を発表した仮想通貨融資サービスの米セルシウス・ネットワークは顧客から預かった仮想通貨を他の利用者に貸し出してリターンを得ていた。5月時点で200万人超の利用者がおり、118億ドル(約1兆5600億円)の預かり資産があると云われている。冒頭の記事では「業界2位の米セルシウスは13日に「利払いを優先させる」として出金を停止し取り付け騒ぎを起こした。破綻の可能性も取り沙汰される。」に加え、「融資事業者は最大年利20%程度の高金利で個人投資家などから仮想通貨を集め、ヘッジファンドや企業に貸し付けたり、自ら運用したりしている。大手3社で600万人超から約340億ドル(4.59兆円)もの資金を集めている。」と指摘する。まさに「仮想通貨バブル」が起きていたことを示す事例と言えるだろう。

「最大年利20%程度の高金利で個人投資家などから仮想通貨を集め」などは「詐欺」に近い内容だが、利用者がその危険に気づかないほど仮想通貨が上昇、怪しい部分を覆い隠していたのだろう。

代表的仮想通貨、ビットコインは22年6月18日に20000ドルを割り込み、ピークの21年10月約61000ドルからは約7割下落、バブルが崩壊したかたちだが、このような時に考えておかなければならないことは、「仮想通貨バブル」の崩壊がどのようなマーケットに波及してくるかということである。そのためには、過去、ビットコインと連動してきた市場を探すことが重要で、例をあげると、ナスダック総合指数やARKInnovation ETF (ARKK)、テスラ株などの成長市場の他、中国株やドル元などとも連動性が高い。つまり、このように連動する指標やマーケットは、仮想通貨のようにピークから約70%下落する可能性があるということであり、また、仮想通貨がボトムを打つまではそれらの市場も底入れするのは難しいということである。仮想通貨を初め、連動するこれらの市場には、欲深い素人の資金も多く含んでおり、個人消費を通じて実態経済に大きな影響を与える可能性が高いだろう。仮想通貨はバブル崩壊で興味が無くなったかもしれないが、市場の底入れ時期を探るためにも欠かせない市場となっていることから、仮想通貨は今後も目が離せなくなった市場なのである。

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