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前回増税後の回復過程と同じであることを示した「2019年11月景気ウォッチャー調査」

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前回増税後の回復過程と同じであることを示した「2019年11月景気ウォッチャー調査」

内閣府は19年12月9日、「2019年11月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2019年11月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+2.9%Pの39.2%(原数値)と改善。水準は景気の別れ目となる50%を19ヶ月連続で割り込み、東日本大震災後の11年5月以来、8年5ヶ月振りの極めて低い水準。前回消費増税時の14年5月の「現状判断DI」は45.1%でそれに比べると5.9%P低い水準で、増税月10月の5.6%Pの差と変化なく、増税後の回復の動きは前回と同じであることを示している。前年比ベースでは-9.8%と19ヶ月連続マイナス圏、かつ前回消費増税時以来のマイナス幅。消費税の引上げからほぼ2か月がたつが、宝飾品、化粧品、婦人服、紳士服などで影響がまだまだ残っていることに加え、気温が高めに推移し防寒用品や防寒衣料も苦戦が続いている。コンビニなどではポイント還元の影響で現金支払でなく、キャッシュレス決済が増えているが、消費税引上げ後、客単価がかなり下がり、売上が前年を下回る厳しい状況が続いている。メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+2.7%Pの39.4%と改善で原数値との違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、19年1月-2.7%→2月-0.6%→3月-0.5%→4月-0.1%→5月-2.0%→6月-2.2%→7月-3.2%→8月-1.7%→9月+1.6%→10月-6.0%→11月-2.3%と推移。10月に前回消費増税時以来のマイナス幅となった後、2ヶ月連続でマイナス圏に陥っている。内閣府の基調判断は、2月に「穏やかな回復している」に引き上げた後、逆に、3月には「このところ回復に弱さがみえる」に1ヶ月で下方修正し、内閣府の基調判断がいかに意味のないものかを露呈したが、7月に「天候など一時的な下押し要因もあり、このところ回復に弱い動きが見られる」と4ヶ月振りに下方修正して以来、それを据え置いている。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は45.5%で前月比+1.9%ポイントと2ヶ月連続で改善した。ただ、前年比ベースは-4.9%Pと14ヶ月連続マイナス圏で、単なる消費増税前後の一時的改善であることを示し、景気の別れ目の50%を10か月連続で下回っている。消費税増税の反動減からの回復が見込まれる他、年間最大の年末商戦や忘年会シーズンを控えていることに加え、政府による消費増税後の景気腰折れ対策を期待している。ただ、日韓関係の悪化や香港情勢などの影響により外国人観光客の動きにも陰りがみられ、消費を一部補填してきたインバウンドへの懸念も不安材料で、景気が回復基調を取り戻すには時間がかかる可能性が高い。尚、「季節調整値」は前月比+2.0%Pの45.7%と2ヶ月連続で改善、景気の別れ目の50%を12ヶ月連続で下回ったが、原数値と同じ傾向で違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は45.1%と前月比+1.3%Pと2ヶ月連続で改善。前年比ベースでは-5.3%Pと14ヶ月連続で悪化、景気の別れ目の50%を12か月連続で下回っている。全国先行きDI(家計関連)46.4%であることから、全国ベースを2ヶ月連続で下回っており、再び、世界的金融危機への懸念が出始めている。ただ、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、19年1月-0.1%→2月-0.3%→3月-0.7%→4月-1.1%→5月-1.3%→6月-1.6%→7月-1.4%→8月-1.1%→9月-0.6%→10月-0.2%→11月-0.2%と推移。同指標は18年9月に+1.2%と過去最高を記録した後、昨年11月以降、加速して悪化してゆき、1年も経たない今6月-1.6%とリーマンショック時並みの水準まで低下した。昨年8月「トルコショック」から始まり、昨年10月の米金利上昇を契機とした世界同時株安、今5月からの急落調整と、以前から予告している約半年毎に起きる「○○ショック」の影響が大きい。世界的な金融危機が既に、スタートしていることを示唆しているわけだが、それが7月以降のマイナス幅縮小で世界的な金融危機が一旦、小休止していることを示唆していた。それが先週12日に行われた英総選挙で与党・保守党が大勝し、来年1月末に英国が欧州連合(EU)から離脱することが確定的となったこと、さらに米中通商協議の第1段階で合意し、追加関税の発動見送りで合意したことなどを先読みしていたことになる。過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。今6月までまだ表面化していない金融危機は「チャイナ・ショック」や「リーマン・ショック」規模まで発展している可能性を示唆していたが、現在はそれが小休止しているに過ぎず、再度、同指標が悪化し始めたときは要注意であることは間違いない。

また、同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標が今6月までフリーフォールのような急落をみせたことで、株式市場は特に、年末年始頃から要注意の時間帯に入ることを示唆している。データではまだ表面化していない金融危機は「チャイナ・ショック」や「リーマン・ショック」規模まで発展していることを示唆しているが、そのような現状で10月に予定通り「消費増税」を実施したことは、近い将来、日本国民に地獄を味あわせるきっかけになるとの懸念は拭えない。また、データ通りであれば年明けからの株価暴落は避けられない状況だが、来年のオリンピックを暴落のなかで実施することは日本政府としても避けたいところ。そのためにも年明け~春にかけて何らかの株価対策を打つことで、オリンピックに向けて株価は一旦、大きく反発することも同指標は示唆していることになる。また11月以降、同指標がどうなるかで、オリンピックに向けた株価対策の賞味期限を示唆することになる。すでに、10月、11月は単月ベースでは関東が全国を2ヶ月連続で下回っており
、オリンピック終了とともにその反動が表れ、そのときに改めて今回の消費増税のタイミングの悪さを浮き彫りになることだろう。近未来の想像ができない日本の多くの政治家も国民もそれまでは呑気にスポーツ観戦でもしているのだろうか。

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