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日米株価が約8年振りに逆転

日米株価が約8年振りに逆転

先週、日経平均は週間ベースでは16年2月29日週以来、約8年振りにNYダウを逆転した。過去、「日経平均-NYダウ」が逆転した時期を振り返ると、97年~2000年のITバブル前、2006年~2007年のリーマン・ショック前、2015年チャイナショックの時期、とバブル崩壊や〇〇ショック前に表れている。日本の実体経済を示す23年10~12月GDPが前期比で2四半期マイナスのテクニカル・リセッションに陥る一方、米商務省が先週2月28日発表した23年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比3.2%増と、民間在庫投資の下方修正から速報値3.3%増からはやや下方改定されたものの、個人消費は引き上げられ米国の景気は底堅さを示唆。つまり、日米の景況感の差で日米の株価が逆転したというよりは円安で円ベースの株価が押し上げられたことが原因と考えられる。

実際、アベノミクス以降、第1期円安局面の75円→125円の約50円幅の円安で「日経平均-NYダウ」は-4794円→+3551円まで8345円幅の改善、第2期円安局面である今回は103円→151円の約48円幅の円安で「日経平均-NYダウ」は-8183円→+823円で+9006円幅の改善となっている。市場では、日米の株価逆転を囃して日本株を煽るかもしれないが、「日経平均-NYダウ」のプラス幅をさらに拡大するには第3期の人工的な円安局面が必要ということになる。

では、今後の為替はどうなるだろうか。T―Model理論の為替を分析する上で重要な二つの指標が先週、ようやく発表された。

一つは2月27日に公表された米国の1月現金通貨とM2である。現金は2.25兆ドル、前年比+1.8%増、M2は20.78兆ドル、前年比-2.0%。まず、この時点で注目すべきはM2が22年12月以降、マイナスが続いている点。M2のマイナスは大恐慌以来で、本来、あってはならない状態だが、いくら現金を増やしてもM2が増えない米国経済の酷い状態を表している。それはさておき、日米の現金通貨比率は1月0.35倍と、23年12月0.36倍とほとんど変わっていない。つまり、同指標からは円安にも円高にも振れにくい均衡状態が続いていることになる。

もう一つは「購買力平価(消費者物価ベース)」で、1月108円と、23年12月108.2円から微妙ながら円高が進んでいる。不思議に思われるかもしれないが、その結果、「購買力平価(消費者物価ベース)」-ドル円は1月-39.0円と、23年12月-32.8円からより拡大したが、直近で最大の差となっていた23年10月-42.7円は超えていない。つまり、T―Model理論の為替を分析では、この「購買力平価(消費者物価ベース)」-ドル円と日米現金通貨比率は連動性が高く、少なくとも、1ドル200円に向かうような円安局面は同分析からはあり得ないことになる。仮に、1ドル200円になるような円安となる場合、「購買力平価(消費者物価ベース)」-ドル円は-90円近くになり、変動相場制がスタートした73年1月-53.4円を大きく下回る。つまり、これは「ブレトンウッズ2」体制の崩壊を意味することから、逆に言えば、今回の円安ドル高を仕掛けた当局からすれば、これ以上の円安進行は難しいことを知っているのではないだろうか。実際は、日米の実態経済が酷い悪化次な状態にあるなか、それを覆い隠す秘策はまだあるのだろうか。

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