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米国「債務上限問題」は恒例行事と楽観視していられるか?


米国「債務上限問題」は恒例行事と楽観視していられるか?

2023年5月8日ロイターでは『米議会が債務上限問題対応できなければ「憲法上の危機」、イエレン氏警告』を報道している。

『米議会が債務上限問題で適切な対応を怠れば「憲法上の危機」を招き、連邦政府の信認に疑義が生じかねない――。イエレン米財務長官は7日に出演したABCテレビの番組で、こう強く警告した。

イエレン氏はかねてから連邦政府の資金繰りが行き詰まる恐れがある時期と表明していた6月上旬までに31兆4000億ドル(約4180兆円)の債務上限が引き上げられない場合、金融市場に重大な影響を及ぼすと主張。この問題について「米国民の頭に銃を突きつけた状態」で協議をするべきでないとも語った。

バイデン大統領は議会に対して、無条件で債務上限を引き上げるよう要請している。一方野党共和党が優勢な下院は先月、債務上限引き上げとともに向こう10年にわたって包括的な歳出削減を行う措置を盛り込んだ法案を可決し、バイデン氏と与党民主党がこれに反対する構図が続く。

9日にはバイデン氏が、民主党指導部や共和党のマッカーシー下院議長、マコネル上院院内総務と会談する準備を進めている。こうした中でイエレン氏は「債務上限問題は議会が取り組むべき仕事だ。それができないと、われわれ自らが経済と金融の破局を生み出すことになる。そしてわれわれは、大統領が国債発行にゴーサインを出せるかどうか検討しなければならない事態にまで到達してはならない」と訴え、米国憲法の下で立法と行政にはそれぞれ与えられた役割があり、それを果たす必要があるとの見方を示した。』

恒例行事となった米国債の債務上限問題は最終的には共和党と民主党が歩み寄り、今回も「最終的には何とかなる」と市場関係者の多くは楽観視しているようにみえる。だが、それは株式の市場関係者に限られ、債券の市場関係者は「リーマンショック」並みの金融危機を織り込み始めている。

実際、債券の恐怖指数MOVEは130と、リーマンショック後の2009年8月で高止まりする一方、金融危機を覆い隠すために利用されていると思われる株式の恐怖指数VIXは平常時の20以下に低迷、『MOVE指数-VIX指数(移動平均)』は5月1日週119.37と、「リーマンショック」後の09年8月24日週以来の高水準。また、米国CDS10年は51.58と09年3月2日週以来、また米国CDS5年も64.37と、09年1月2日週以来の高水準に急騰しており、「楽観視」どころか、新たな金融危機の火種が生まれていることを示唆しているからである。

イエレン米財務長官は7日、ABCテレビのインタビューで、バイデン大統領が9日に議会指導部との「債務上限」問題に関する協議で「歳出面での優先事項などを話し合う方法を提示する意向だ」と述べた。だが、主張の隔たりは大きく、共和、民主両党が妥結に至る公算は小さい。そのため、イエレン米財務長官は、5月11日~13日に新潟で開かれるG7財務相・中央銀行総裁会合出席で訪日を予定しているが、米財務省の高官は5日、米債務上限問題の影響でイエレン長官の訪日計画は圧縮されたと説明した。また、バイデン氏が5月19日~23日に開催される主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)への出席を見送ることもあり得るとの見方も出てきている。

米政権が発表した大統領経済諮問委員会(CEA)の報告書では、米国がデフォルト(債務不履行)に陥り、長期化した場合、米国内では失業者が約800万人に達する可能性があると試算と報道されており、それは53年振りに低い失業率が一気に悪化することを意味する。

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