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全米14位ファースト・リパブリック銀行の実質破綻と「債券と株式の恐怖指数の乖離」


全米14位ファースト・リパブリック銀行の実質破綻と「債券と株式の恐怖指数の乖離」

23/4/25ブルームバーグニュースでは『JPモルガンのコラノビッチ氏、低い変動性が米株リスク覆い隠す』を報じている。

『最近の米市場の静けさを株式を購入して問題ないサインと受け取る投資家には、この先もトラブルがなお控えているかもしれないと、JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏は指摘した。

同氏は24日の顧客向けリポートで、金利上昇や金融状況引き締まりに加え、地政学的緊張のようなマクロ面のリスクの水準を踏まえると、市場心理の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBEO)のボラティリティー指数(VIX)は「異常に低い」とコメントした。 最近の低い変動性は、オプションの売り手が市場を支配している結果だという。(途中略)

他のオプション市場や高い短期金利、足元のマクロデータと比較すると、VIXは「ずれた位置にあるように見える」という。「これは異常であり、現在の低いVIX水準が長く続くとは考えにくいとわれわれはみている」と説明した。』

このJPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏の見方を初めてお伝えしたのが、2023/02/20『米株式市場の不自然な安定は「ボルマゲドン」の再来を示唆?』のT-Modelコラムである。

『 『JPモルガンの首席グローバル・マーケット・ストラテジストのマルコ・コラノビッチ氏は15日、米株式市場で短期オプション取引が急増していることについて、2018年に起こった「ボルマゲドン」のようなボラティリティーの急上昇を招きかねないとの見方を示した。(途中略)

コラノビッチ氏はノートで、1日の間に市場が大きく動いた場合、こうしたオプションの売り手が一斉に買い戻しを迫られ、巨大な市場変動を招く恐れがあると指摘。市場の流動性が低下していることも相場への影響を増幅させ、売り買い合わせて300億ドル規模の取引を引き起こすとの試算を示した。

ボルマゲドンは、2018年2月に市場の変動が急速に高まってボラティリティー関連の金融商品市場が混乱し、投資家が数十億ドルの損失を被った出来事。コラノビッチ氏は「歴史は繰り返さないが往々にして韻を踏む」とし、同氏が予想するような事態になればボルマゲドン級のショックが広がると予想した。』

冒頭の記事で指摘している米国での債券市場と株式市場のズレの理由の一つが、この「ボルマゲドン」なのだろう。オプションを利用してボラティリティを抑えることで楽観的な株式市場を演出して吊り上げ、突然、ボラティリティを上昇させることで株価暴落を演出した2018年に起きた所謂『VIXショック』目前に似ていると指摘しているのである。債券市場が正しいのか、株式市場が正しいのか、その答えはもうすぐ出ることだろう。 』

同氏が2月に指摘した「ボルマゲドン」の再来がまだ起こらずにボラティリティー指数(VIX)は「異常に低い」と指摘する。その原因は、VIX指数を「オプションの売り手が市場を支配している結果」で、それが2月にも表れていた『米国での債券市場と株式市場のズレ』を起こす原因となっている。

この『米国での債券市場と株式市場のズレ』については、2023/04/17『なぜ、債券と株式の「恐怖指数」は歴史的に乖離 している?』のT-Modelコラムにおいて、

『今回のような債券と株式の恐怖指数の乖離を「MOVE指数-VIX指数」で振り返ると、23年4月10日週114.6は+1σを上回る一方、VIXは20割れで、リーマンショック時の08年3月24日週132.45とVIX指数が08年4月28日週16.47の20割れなっていた当時とよく似ている。

冒頭の記事で、元メリルリンチのディレクターで1994年にMOVE指数を設計したハーレー・バスマン氏は『米国株のボラティリティー指標であるVIXとMOVEが異なるシグナルを送ることは時々あるが、過去の例では長続きすることはない。』と現在のVIX指数の不自然さを指摘。また、シンプリファイ・アセット・マネジメントのマネジングパートナーを務めるバスマン氏は「VIXが上昇するのは時間の問題だ」、「過去30年を通じて、イールドカーブの形状とクレジットスプレッド、インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)には大きな相関があった。VIXもMOVEも含めた全てのボラティリティー指標でそうだった。あらゆるリスク指標は長期的には強い相関を持つ」と、リーマンショック時のような先行するMOVE指数をVIX指数が追いかけるかたちを想定している。さて、どのようなことをきっかけそれが表れるかが注目である。 』と指摘した。

先週起きた全米14位のファースト・リパブリック銀行の実質破綻、そして今週予定されるどこかの金融機関による吸収合併の処理は、08年3月に起きたJPモルガンによる実質破綻のベアスターンズ吸収合併の破綻処理によく似ている。そして、その後、リーマンショックに金融危機が発展したことは記憶に新しいが、その当時に起こっていた「債券と株式の恐怖指数の乖離」は当時と同様の茶番劇であることを物語る。いつその茶番劇のネタばらしをするか?が最大の関心事となってきている。

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