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2つの景況感指数

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2つの景況感指数

2019/10/5日経夕刊に『雇用統計 つかの間の癒やしか』が掲載されている。

『4日のダウ工業株30種平均は続伸し、前日比372ドル高で終えた。朝方に発表された9月の米雇用統計が「思ったほど悪くない」と受け止められ、買い安心感が広がった。今週のダウ平均は1~2日に米製造業の景況感指数の悪化で838ドル下げたが、週後半の2日間で下落分の6割近くを取り戻した。雇用統計では、景気動向を映す非農業部門雇用者数が前月比13万6千人増となり、市場予想(約14万5千人増)を下回った。ただ7~8月分が計4万人あまり上方修正され、9月の下振れを打ち消した形だ。

市場参加者からは風向きの変化を期待する声が相次いだ。1日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が47.8と10年3カ月ぶりの低水準となり、米市場ではにわかに景気後退懸念が浮上していたからだ。もっとも、雇用者増加は今年1~9月の平均で16万人と、昨年の年平均22万人を3割近く下回る。超低失業率と雇用の伸び悩みからみえてくるのは、過去最長の11年目に入った米景気拡大が最終局面にあるという実態だ。ISM製造業指数の悪化は喉に刺さった小骨のように米株投資家を悩ませるだろう。同指数と米株相場の連動性の強さは見逃せないからだ。S&P500種株価指数(月足)の前年同月比騰落率とISM指数をグラフにするとほぼ重なる。2000年以降の両データの相関係数は0.76とかなり高い。

米投資情報会社ミラー・タバックのマシュー・マリー氏によると、ISM製造業指数が48を下回った過去7回のうち5回で景気後退が起き、S&P500は17~47%下落したという。』

製造業景況感指数は米中貿易摩擦が企業業況感を悪化させ47.8と09年6月以来、10年3カ月ぶりの低水準となったが、10月3日発表しされた9月の非製造業総合指数も52.6と、2016年8月以来の低水準となった。関税措置を巡る懸念が高まる中、通商問題の影響が経済の広範な分野に波及している可能性を示唆した。指数は50が判断の分かれ目となる。

両指標は過去、近い動きを示すが、どちらかというとISM製造業景況指数がISM非製造業景況指数よりも先行する傾向が強い。それは冒頭の記事にもあるように、ISM製造業景況指数は株価の前年比騰落率に連動しているのに対し、ISM非製造業景況指数は遅行指標の非農業部門雇用者数(前月比)と連動する傾向があることからも明らかだろう。従って、より注目すべきは先行するISM製造業景況指数であり、同指標がこの水準で下げ止まらないと株価の前年比騰落率がマイナスとなり、株価が下落しやすくなることを示唆している。

先週、NYダウが10月1日高値27046ドルから10月3日安値25743ドルまで2日間で1300ドル近い急落となったが、その後週末にかけて約850ドルの急反発した理由を『朝方に発表された9月の米雇用統計が「思ったほど悪くない」と受け止められ、買い安心感が広がった』と冒頭の記事は指摘しているが、遅効指標の雇用統計で株価が反発したとの説明はいつもの後追い解説に過ぎず、本当のところはISM製造業景況指数の10年3ヶ月振りの悪化を受けて投機筋が売り仕掛けをして急落したが、売り込み過ぎたことで毎月かく乱要因となる雇用統計をきっかけに買い戻したからではないだろうか。従って、米株価が再度、史上最高値をトライするような本格上昇にはISM製造業景況指数がボトムアウトしてくることが必要不可欠であり、それまでは思惑で乱高下する可能性が高い。連邦準備理事会(FRB)が10月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定するかを占う意味でもISM製造業景況指数が重要だが、米国株価を占う意味で10月以降の同指標がより重要になってきているのである。

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