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第379回:米長期金利が急低下5%割れ 本当の理由は?

第379回:米長期金利が急低下5%割れ 本当の理由は?

『米長期金利が急低下、5%割れ』の本当の理由は?

2026年10月23日日経新聞電子版に『米長期金利が急低下、5%割れ AI株安で「安全資産」に逃避』が報じられている。

『22日の米債券市場で長期金利が急低下し、1カ月ぶりに心理的節目の5%を下回った。人工知能(AI)関連株の急落や欧州の財政不安を背景に、相対的な「安全資産」として米国債に資金が流入した。これまでの急激な金利上昇が投資や企業収益を圧迫し、反動で債券買いを呼ぶ逆回転が起き始めた。(途中階)』

指標となる米国10年債利回りが10月22日に4.939%と5%を割り込み、9月22日の4.96%以来、約1か月ぶりの水準まで急落した。9月下旬に5%を突破し10月5日には一時5.4%近くまで上昇したが、僅か2週間ほどで急低下している。

背景には株高と米国経済を牽引してきたAIテック関連企業の成長鈍化と信用不安があり、米国債市場で久々に高騰したハイテク株から典型的な「安全資産への逃避」が起きている。ただ、10月22日の市場では、NASDAQが約2.5%、半導体株指数SOXが約6%下落した一方、ダウ平均の下落は比較的小幅にとどまり、今回の動きは株式市場全体からの資金逃避というよりは、AI・ハイテク関連資産から他の資産への選別的な資金移動という側面もある。

今回の相場を複雑化しているのが、米国のCPI、PPIが予想を上回る一方、中東情勢の緊迫化を背景にWTI原油先物価格が約3%上昇で、通常、原油高やインフレ再加速は国債利回りを押し上げる方向に働くが、長期金利は低下しているためである。「インフレ」以上に「景気後退懸念」か、「AIリスク回避」を織り込み始めていると言えるだろう。また欧州ではフランスの財政・信用不安を背景にフランス国債利回りが上昇する一方、米国債やドイツ国債は買われ、同じ国債でも信用リスクによって利回りの方向が分かれている。

さらに、金利下落局面では金価格が上昇することが多いが、今回は金価格も下落した。10月23日ブルームバーグニュースは『金価格一時4000ドル割れ—株式相場下落、換金売りが金に広がる』で、「金価格はAI関連株の急落で追証(追加証拠金)を求められた投機筋(ヘッジファンド)のポジション解消などで、手元の金や銀まで売却した可能性」が報じられている。つまり「資産を守るための金」から「損失を埋めるために売る金」となっている。

2026/10/5『明暗分ける金と仮想通貨』のT-Modelコラムにおいて、

『2026/08/10『金の再騰はいつから始まるのか?』のT-Modelコラムにおいて、

『記事では、ドルインデックスと金は逆に動くかのような説明があるがほとんどその関係はみられない。NY金価格と逆相関の関係にあることを発見したT-Model理論『NYダウ/NY金』である。 『NYダウ/NY金』は26年3月2日週9.2倍まで急落した後、7月13日週13.0倍までリバウンドして、その期間、NY金は調整していたことを示す。以前から、何度も説明してきたが、現在によく似ているのが、2008年3月10日12.0倍から2008年9月8日週15.0倍まで約半年間リバウンド期間で、その後、9月15日にリーマンショックが起きて、2011年8月15日週5.8倍まで急落する過程で、NY金は約1900ドルの史上最高値まで急騰した。

約半年の調整期間はリーマンショック前に水面下で危機が始まり、金を売却することでドルキャッシュを作って危機に対応していたためである。このリーマンショック時を参考にすると、調整期間は9月頃までで、冒頭の記事にあるように早くも動き始めたのかもしれない。ただ、金が本格的に急騰するのは今回のボトムである26年3月2日週9.2倍を割り込む時に始まるのではないだろうか。』と指摘した。

今年3月以降のNY金の動きとT-Model理論『NYダウ/NY金』を振り返ると、「リーマンショック」が起きる半年前の08年3月以降の動きによく似ていることが分かる。若干の時間的ズレは中間選挙を意識したトランプ政権による強引な株価吊り上げの影響によるもので、その反動が表れる時期が近づいているようにも見える。焦点は11月3日の「中間選挙」まで「株価買い支え」が維持できるかどうかにあるのではないだろうか。トランプ第一期政権の中間選挙の年も「株価吊り上げ」が行われていたが、中間選挙を前に株価は息切れし、年末まで下げ続けたからである。』と指摘した。

T-Model理論『NYダウ/NY金』は先週10月26日週13.0倍と依然、高止まりしている。つまり、金の本格上昇が始まる「9.2倍」までにはまだ時間がかかりそうである。

今回の米国の利回りが下がった理由が「景気後退懸念」か「AIの信用リスク回避」か、で今後の相場の読み方が大きく変わる。コアウィーブのデフォルト確率60%が「AIの信用リスク回避」で国債を買わせただけで、壊れているのはAIの信用の方に見えるが、仮に、「景気後退懸念」の方だとすると08年の「リーマンショック」のような「金融危機」に発展するリスクが高まることになる。当時、リーマン破綻後に世界的な金融不安が急拡大したことで2008年10月8日にFRBはECBや英中銀などと協調し、定例会合外で0.5%の「協調緊急利下げ」を実施し、FF金利目標は2.0%→1.5%に引き下げている。今後、FRBの政策金利は「引き上げ」よりも、「引き下げ」に警戒しなければならないことになるが・・。そして、AI株安と米金利低下が同時に進むと、円キャリートレードの巻き戻しが意識されやすく、為替市場で円の買い戻しが出やすい局面に入ることになる。08年のような「金融危機」に発展するかは今後の米国の金利動向を注意深く見ていく必要があるだろう。

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