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米国人員削減数は1月としてはリーマン・ショック直後の2009年以来で最多を記録


米国人員削減数は1月としてはリーマン・ショック直後の2009年以来で最多を記録

2023年2月3日ブルームバーグニュースでは『米人員削減数、1月は10万人超える-2020年以来の大規模カット』を報じている。

『米国の雇用主が1月に発表した人員削減数は、2020年以来の多数となった。再就職会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスがまとめたデータで明らかになった。1月の人員削減数は10万2943人と前月の2倍を上回り、前年同月比では440%増加した。テクノロジーセクターが削減全体の41%を占め、小売りや金融機関でも1年前から増えた。

チャレンジャーのシニアバイスプレジデント、アンドルー・チャレンジャー氏は「数年に及ぶ新型コロナウイルス禍での雇用活況は過ぎた」と発表文で指摘。「企業は景気減速に備え、従業員を削減し、採用を減速している」と続けた。米全体の雇用削減はまだ総じて低い水準にとどまっているが、企業による人員カットの発表は過去数カ月に相次いでいる。テクノロジーセクターが特に深刻で、ペイパル・ホールディングスやグーグル親会社のアルファベット、アマゾン・ドット・コムなどは大規模な削減計画を発表した。』

米1月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比ベースでは約5.4倍で、8ヵ月連続の増加。前月比ベースでも約2.4倍で、3カ月連続の2倍超を含め4カ月連続で増加している。10万人を超えたのは、新型コロナウィルスの感染拡大で経済が混乱した20年9月以来。また、人員削減数は1月としてはリーマン・ショックが直撃してまもない2009年以来で最多を記録した。テック企業の削減数は4万人を超え、前月比2.6倍で、グーグルが12000人削減を発表したほか、マイクロソフトも1万人削減を公表。テック以外では金融分野の削減数が1万人を超え、ゴールドマンサックスは1月に入り、全従業員の約6%に当たる最大3200人規模の削減に踏み切る。23年に入り、幅広い業種の人員削減を打ち出す企業が増え、全世界で1月30日までに219社が6万8,000人のリストラを発表した
が、2022年全体で1,000社、15万4,336人と比較すると、いかに2023年が「失業ショック」の年であることが予感させないだろうか。

2023年1月25日日経新聞では『米企業の2割「3カ月以内に人員減」 民間調査』を報じている。

『全米企業エコノミスト協会(NABE)による1月の景況調査で、米企業の19%が今後3カ月のうちに採用抑制や人員削減などで従業員が減少すると予想していることが明らかになった。景気後退懸念がくすぶるなか、労働市場の逼迫が和らぐ可能性がある。調査は1月4〜11日にNABEの会員企業を対象に実施し、23日に発表した。

今後3カ月間に人員が減ると回答した割合は2022年10月時点の前回調査から5ポイント増の19%だった。同期間に雇用を増やすと回答した割合は12%と、前回調査(22%)を大きく下回った。人員が減ると回答した割合が、増えると回答した割合を上回るのは20年以降初めてだという。

NABEのジュリア・コロナド会長は「調査結果は23年に入り景気後退懸念が強まっていることを示した」と指摘する。今回の調査では回答者の半数以上が、今後1年間で景気後退に陥る可能性を50%以上とみていることも明らかになった。』

その割に不思議なのは、2月3日に発表された米国1月の雇用統計である。非農業部門雇用者数は前月比より51万7000人増加し、19万人程度の市場予想を大きく上回り、また失業率も前月比0.1%ポイント低下し3.4%と、1969年5月以来、53年8か月ぶりの低い水準を記録したためである。人手不足が続いていることが改めて示したのだが、今1月から統計方法を変えたのかと思わせる内容である。

前述のチャレンジャー人員削減予定数と失業率を比較すると、明らかに失業率がおかしいことが分かる。苦しい経済環境のなかで複数の職を持つ者が増加したり、個人事業主に転じて失業率が低く抑えられた可能性があるだろう。

実際、2月1日日経夕刊に『「その日暮らし」嘆く消費者』でそれを垣間見ることができる。

『オンライン融資仲介大手のレンディングクラブが22年12月に実施した調査では、米国人の64%が「その日暮らし」の生活を送っていると回答。10万ドル以上の収入がある人でも半数以上が「余力がない」と答えた。同社は「インフレの影響は全ての米国人の財布をむしばみ、給料ぎりぎりの生活を送る人は過去最高水準に達している」と指摘する。』

過去、チャレンジャー人員削減予定数は失業率の先行指標的色彩が強く、今後、失業率5%程度まで上昇することを暗示しているかのようにも見える。いつ、どのようなかたちで雇用統計の悪化が表面化するか。当面、先行性のあるチャレンジャー人員削減予定数から目が離せなくなってきている。

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