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個人投資家に人気のテスラ株の急落は何を示すのか?


個人投資家に人気のテスラ株の急落は何を示すのか?

2022年10月4日日経夕刊に『不安映すテスラ逆行安』が掲載されている。

『3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前週末比765ドル(2.7%)高の2万9490ドルで引けた。一日の上げ幅としては約3カ月ぶりの大きさだった。株価急騰のきっかけは米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の製造業景況感指数だ。指数は50.9と市場予想(52.2)を大きく下回った。一方で、受注残やサプライヤーの納期が改善するなど、サプライチェーン(供給網)問題の解消の兆しが見えてきたほか、物価高圧力もやや緩和した。

(途中略)

米債券市場では景気悪化とインフレ緩和への思惑から、FRBによる過度な金融引き締め懸念が後退している。長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時3.5%台まで急低下(価格は急騰)した。金利低下がハイテク株に追い風になり、インテル(4.7%高)やマイクロソフト(3.4%高)、アップル(3.1%高)などの株価上昇が目立った。ダウ平均は9月に2784ドル(約9%)下げていただけに、自律反発狙いの買いが入りやすかった面もある。 (途中略) 2022年の米株相場はこれまでも一時的な反発局面を挟みつつ、下落基調をたどってきた。今回も息切れ懸念がくすぶる。3日の市場で目を引いたのが電気自動車(EV)大手テスラの逆行安だ。下落率は8.6%とS&P500種株価指数の採用銘柄で最大だった。2日発表の7~9月の世界販売台数が市場予想を下回り、失望売りが膨らんだ。テスラはアップルと並ぶ個人投資家に人気の銘柄として知られ、スマートフォン証券ロビンフッド・マーケッツの顧客が保有する銘柄でも最上位に位置づけられる。下げ局面で押し目買いが入りやすいテスラ株だが、この日は終日安値圏で推移した。米調査会社バンダリサーチは先週公表のリポートで「個人投資家は全体的に底値で買う動きを縮小しており、市場の回復に対する確信が薄れてきている」と指摘している。株式相場の本格的な反転上昇が見通しにくい状況が続き、個人の押し目買い意欲が薄れている様子もうかがえる。

ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏は「家計の株式需要は細り、特に(頻繁に売買する)個人トレーダー層のリスク回避が急速に広がった」と分析している。「歴史的にみて成長率の低下と失業率の上昇時には家計の株売りも起こる」と指摘し、23年も家計による1000億ドルの株売却を見込んでいる。逆張りに動く投資家の離散が進めば、相場は一段と不安定になることが避けられない。』

この記事では、3日の「テスラ株」の逆行安の理由を「2日発表の7~9月の世界販売台数が市場予想を下回り、失望売りが膨らんだ。」と指摘するが、それよりも大きな理由は、「イーロン・マスクが2022年10月3日、Twitterを当初の購入価格で買い取ると申し出た。」ことだろう。理由は別にしてもテスラ株は「アップルと並ぶ個人投資家に人気の銘柄」だが、今回の株価急落で重要な分岐点に差し掛かっている。理由は、10月末の株価が現在の水準だとすると、「対NYダウの相対株価」がトレンドラインを割り込む可能性が出てきたためである。テスラ株の「対NYダウの相対株価」はピーク後のNYダウの株価下落過程との連動性が高いことから要注目である。

実は、個人投資家に人気だった共通点から過去、テスラ株とビットコインは同じような動きを示していた。ご存知のように、ビットコインは21年10月61732ドルから22年9月19423ドルまで約7割の大暴落となっているため、テスラ株の下げ余地が大きいことになる。

また記事では、「個人投資家は全体的に底値で買う動きを縮小しており、市場の回復に対する確信が薄れてきている」と指摘。実際、個人投資家の動向を示すと同時に、NYダウとの連動性が高い「米国マージンデット」は直近22年8月が前年比-24%と急減、2010年以降では最大の落ち込みを記録し、個人投資家がまだ押し目買いを入れていないことを示している。

実は、この個人投資家の動向を示す「米国マージンデット」と極めて連動性の高い指標がある。それは「米国PBR(S&P500)」である。2010年以降しかデータのない「米国マージンデット」の代替で「米国PBR(S&P500)」を分析すると、今回は+2σを超える21年10月4.9倍の水準から直近22年9月3.6倍まで急低下しているが、「ITバブル崩壊」時も+2σを超える2000年3月5.1倍の水準から2001年3月3.3倍に急低下と、ピークからの1年間の動きは「ITバブル崩壊」時とほぼ同じ推移を辿っている。つまり、「米国PBR(S&P500)」は「ITバブル崩壊」のようなバブル崩壊が既に起きていることを示唆しているのである。「ITバブル崩壊」時はその後、1年半かけて2.4倍まで低下して下げ止まったかたちだが、今回に当てはめると24年3月頃に下げ止まることになる。バブル崩壊は今回の「ITバブル崩壊」型以外にも、「リーマンショック」型、「日本の内需バブル」型、マイケルバーリ氏が指摘する「1929年の大恐慌」型、などいろいろ想定されるが、どのバブル崩壊のパターンになるかが注目される。すぐに「株価ボトム」を唱えたがる多くの楽観的な市場関係者には「バブル崩壊」が起きているという発想は全くないのだろうが、現時点でそれに気付いていなとこれからマーケットで何が起きるかは想像できないのではないだろうか。楽観的な投資の淘汰が始まろうとしている。

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