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第358回:29年ぶり長期金利上昇 輸入インフレが原因?
第358回:29年ぶり長期金利上昇 輸入インフレが原因?
財政悪化懸念で長期金利が一時、約29年振りな2.8%に上昇
26/5/18読売新聞オンラインに『長期金利が一時2.8%に上昇…財政悪化への懸念、日銀の利上げ巡る観測が押し上げ』が報じられている。
『週明け18日の東京債券市場で、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りは一時、前週末終値に比べて0.1%高い2.8%に上昇(債券価格は下落)した。1996年10月以来、約29年半ぶりの高水準となった。
米国とイランの戦闘終結に向けた協議の行方が見通せず、原油価格が高止まりしている。市場では、物価上昇(インフレ)の加速が意識され、国債が売られている。原油高を受けて政府が2026年度補正予算案を編成する検討に入ったと報じられ、財政悪化に対する懸念が高まったことや、日銀が利上げに踏み切りやすくなったとの観測も長期金利を押し上げている。
前週末には米欧の長期金利も軒並み上昇しており、世界的に金利が上昇基調となっている。』
日本の10年債利回りが2.8%に乗せたことがニュースになっているが、実は、2年債利回りは5月15日に1.412%(終値ベース)と1995年4月以来、約31年振りの水準、5年債利回りも5月15日に1.99%(終値ベース)と1996年8月以来、約30年振りの水準と、ともに約30年前の水準まで一足先に上昇していたことから、近い将来、10年債利回りも約30年前の水準である3%超に上昇する可能性を示唆している。以前からお伝えしてきたように、T-Modelでは、現在の金利急騰の原因は(人為的)円安による「輸入インフレ」が原因と考えている。T-Model理論『名目GDP-実質GDP』で「インフレ額(率)」の推移を計算すると、直近25年4~6月約19兆円(+11.7%)、7~9月約16兆円(+9.9%)、10~12月約23兆円(+13.4%)と実質のインフレ率は既に2ケタを超えている。実は、この「インフレ額(率)」の先導役となっているのが円安による「輸入インフレ」で、この「インフレ額(率)」を時間差で追いかけるかたちで、日本の金利が急騰しているだけなのである。つまり、「円安→輸入インフレ→長期金利上昇」と発展しており、この順番さえ理解できれば、現在の金利急騰も驚くことはなく、「(人為的)円安」を止めるだけで、現在の「インフレ額(率)」は落ち着き、その後、日本の長期金利上昇も一巡すると考えられる。ただ、現在の2桁のインフレを全く反映していない5月22日に発表予定の日本の消費者物価指数でインフレを判断しているようでは、現在の長期金利上昇の原因が全く理解できず、この記事にもあるような場当たり的な理由を探すことになり、根本的解決には届かないのではないだろうか。現在、世界中の長期金利が同時に上昇しているが、これは単なる金利上昇ではなく、金融市場全体への警告サインとの認識が重要だろう。例えば、長期金利が0.1%上がるごとに日銀の保有国債の含み損は3兆円弱増え、長期金利が3%になれば、保有国債の含み損は60兆円に達する見込み。つまり、日本国債や米国債を保有するる多くの金融機関は巨大な含み損を抱えており、それが今後どのようなかたちかは別にして、表面化することが明らかだからである。このような債券市場の危機を株式市場は軽視しているかのようにも見えるが、それは2008年のリーマンショック、2020年のコロナ危機の時のようにQE政策でFRBが救ってくれると安心しているからだろう。だが、FRB次期議長のケビン・ウォーシュ氏は「金利調整が経済全体に作用するのに対し、バランスシート政策は金融資産を持つ層を不釣り合いに利する」と米上院公聴会で主張した。これは「カネ余り相場」の転換点を意味するのか、要注目である。



