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1週で約2000ドル反発は「株価底入れ」のサインか?


1週で約2000ドル反発は「株価底入れ」のサインか?

2022年5月28日日経夕刊一面に『NY株、9週ぶり上昇 1951ドル高~引き締め警戒後退 底入れは見通せず』が報道されている。

『27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、週間では1951ドル(6%)高と9週ぶりに上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が過度な金融引き締めに動くとの懸念がやや後退し、それまでの株安で生じた値ごろ感に着目した買いが優勢になった。米国の景気後退懸念はくすぶり続け、株式相場が底を入れたかは見通せない。

ダウ平均の27日終値は前日比575ドル高の3万3212ドルだった。先週まで8週連続で下落し、金融情報会社のリフィニティブによると90年ぶりの連続下落記録となっていた。この間の下げ幅は約3600ドル(1割強)に達し、今週は自律反発狙いの買いが入りやすかった面もある。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数と多くの機関投資家が運用の物差しにするS&P500種株価指数もそれぞれ8週ぶりに上昇に転じた。

先週までの株安の背景には、高インフレの継続とFRBの急速な利上げに対する投資家の警戒感があった。今週公表の5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、7月まで3会合続けて0.5%の利上げに動く方針が改めて示されたが、0.75%への利上げ幅拡大といった一段の引き締め加速を示唆する内容ではなかった。27日発表の4月の米個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比の伸びが鈍化したこともあり、引き締め警戒の売り圧力は弱まっている。

業種別では主力のハイテク株が相場の戻りをけん引し、アップルは前週末比で約9%高、マイクロソフトは8%高になった。2~4月期決算が好調だった百貨店大手メーシーズが29%高になるなど、個人消費の減速懸念もいったん和らいだ。』

NYダウは先週、大恐慌の1932年以来、90年振りの8週連続下落記録後、1951ドル高と9週間振りに大幅反発した。8週間で約3600ドル下落した後の急反発だが、市場では『米連邦公開市場委員会(FOMC)の5月議会合事要旨で積極的な金融引き締め継続の姿勢が示されたものの、市場が想定した内容と大差なかったこと、また27日に発表された米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視する4月コア個人消費支出 (PCE)価格指数が前年比+4.9%と3月+5.2%から低下し、インフレのピークアウト期待が支援材料となった』と急反発の理由を探す。

実は、このような大幅反発は22年3月14日週+1810ドルにも記録しており、前の週まで5週連続で下落した-2794ドル幅の64%を一気に取り戻した。当時は、『3月15-16日開催のFOMCで政策金利を0.25ポイント引き上げ0.25-0.50%とし、バランスシート縮小を今後の会合で開始することも表明、さらに、セントルイス連銀のブラード総裁が政策金利を年末までに3%超まで引き上げるべきと主張したことや米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事も今後の会合で数回50ベーシスポイントの利上げの必要性を示唆したことから利上げペース加速の思惑は広がった』時で、あまりに不思議な急反発だったことを覚えている。

さらに、その前が21年12月6日週+1390ドルの急反発で、前の週まで4週連続で下落した-1747ドル幅の79%を取り戻した。当時、『11月消費者物価指数が10月実績を上回ったもののおおむね予想通りだったことで米国のインフレ率がさらに上昇する可能性は低いとの見方が浮上、バイデン米大統領が「インフレはピークをつけたと考える」との見方を伝えた』ことが急上昇の理由とされていたが、何れも、辻褄合わせの「後追い解説」の域を拭えないのではないだろうか。

この3回の共通点を振り返ると、22年5月23日週が前の週まで8週連続下落(-3600ドル)、22年3月14日週が同5週連続下落(-2794ドル)、21年12月6日週が同4週連続下落(-1747ドル)と、「連続下落」が共通点である。つまり、その連続下落によって溜まった「空売り」を投機筋が「買いを仕掛け」て買い戻しに追い込んだことが急反発の本当の理由ではないだろうか。実際、この3回の急反発後、NYダウはほとんど上昇せず、その後、逆に、大きく下落していることからも明らかだろう。

22年はこのようなショートカバー(売り方の買い戻し)で相場が急反発する「ブルトラップ(強気のワナ)」を繰り返していることも特徴だが、それは08年の「リーマンショック」以降、続いてきた「量的緩和相場」が転換点を迎えていることを示しているのではないだろうか。楽観的な市場関係者はいつものように「株価底入れ」発信をするだろうが、今回もその「ブルトラップ(強気のワナ)」の可能性が高く、注意が必要だろう。むしろ、どの水準まで反発させてから再度、下落させるかだけに興味が湧く。「ブルトラップ(強気のワナ)」は何度も「株価底入れ」発信を繰り返す楽観的な市場関係者にこれまでのような結果オーライでは通用しない相場が到来していることを今後も突きつけていくことだろう。

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